
| *** 法人税編 *** |
| ■取引先救済のための無利息貸付で寄付金相当が追徴課税 F食品は、F社長が裸一貫から年商10億の会社に立ち上げた食品加工会社である。そのF食品を、創業以来贔屓にしてくれていた食料品小売業を営むスーパ−Gは、今資金繰りに窮していた。これを見かねたF社長は、F食品からスーパ−Gへ無利息で3億円を融資することを即断即決しました。これには、経理責任者の「倒産しそうな取引先の無利息支援は税務上も認められているようです」の進言にも勇気付けられました。 税務調査が終了したところで、経理責任者は、社長に調査官の指摘を報告しました。その指摘内容とは「金銭を無利息で貸し付ける場合、一定の条件を満たした場合に限り、その得られたはずの利息相当額を寄付金としないことができます。しかし、調査官が言うには、F食品さんの無利息融資は、要件を満たさないため、利息相当額が寄付金に該当するとのことです」。F社長は声を荒げながら経理責任者にその税額を問いただしたところ、彼は消え入りそうな声で「寄付金の損金不算入を加味した後の所得は1年間で約1000万円増加し、3年間の合計で3000万円増加します。そうしますと、税額は3年間の合計で本税1200万円と付帯税380万円です。」と伝えました。 翌日、この善後策を講ずるため、F社長は経理責任者とともに税理士事務所を訪ねました。 この税理士が述べるには、「子会社や取引先を支援する場合、何よりも、経済的合理性の有無が問われることになります。実務上の取扱で、税務署等は、税務行政を運営するうえで通達という指針を用いています。それによると、少なくとも4点以上の要件全てを満たしていることが必要と考えられます。」 法人税基本通達9-4-1、9-4-2参照 |
| ■従業員の使い込み発覚! その先に売上計上漏れの追徴課税 C工務店を営むC社長は、5年ぶりの税務調査に顧問税理士とともに臨んでいました。前回の調査同様、領収書の確認に及ぶまでは何事もなく調査は進捗しました。ところが、調査官は「売上の未計上があるように思われます、一度確認していただけませんか。」納品書と領収書の数字を指差しながら指摘しました。 顧問税理士からDの横領の事実を知らされたC社長は、創業以来の仲間に裏切られた気分で意気消沈していたのですが、税理士から今後の税務処理の説明を受け、さらに大きなショックを受けることとなります。 「C社長、隠蔽された2000万円は売上げの計上漏れになります。一方、横領金2000万円への請求権(求償権)が存在したままであるため貸倒れとはならず、計上漏れの2000万円全額に対し法人税等が追徴されることになります。」、事態を十分に把握できていないC社長に対し、税理士は続けました「追徴額は本税だけで、約800万円です。付帯税がおおよそ100万円程度と考えると、合計900万円ぐらいは覚悟してください。」 この顧問税理士は、C工務店は経理作業手順が統一されていないうえ相互チェック機能が存在しないため計上漏れや使い込みの生ずる余地があると睨んでおり、以前からC社長に防止対策案を提示していました。 |
| ■販売促進用の景品代が交際費として課税される? 中古自動車のオークションを主催する法人Wは、年々取引金額が減少する対策として、オートオークションに参加した会員を対象とする抽選会を実施することを意志決定した。 その狙いは次の通りであった。 ・休眠状態にある会員のオークション会の来場意欲を喚起したい。 ・オークション会の最後に抽選会を実施することで、会員を終日オークション会場に留めておきたい。 会員数は増加しているものの、参加しない会員数や参加してもオークションにほとんど参加しないで引き揚げる会員も増加していたのである。会に多数の会員が参加し、その最後まで会場に居残ってもらうことができれば、会は活性化され、その結果取引高の減少に歯止めをかけることができるのではないかと考えたのである。 もちろん、会員の歓心を集めるために、景品は比較的豪華なものを用意する必要があった。 この目論見は比較的成功し、開催以降は以前のオークション会と比べかなり盛況を博しました。 目論見が外れたのは、その後に生じた税務署との攻防です。 税務調査で、広告宣伝費として経費処理していた抽選会の景品代は、交際費に該当すると判断された結果更正処分を受けたのである。資本金が1億円以上の法人は、交際費を全額損金不算入として課税計算しなければならないのである。 納得できないWは、司法の場にその判断を求めました。 Wは一貫して、会員に対する販売報奨金あるいは販売促進目的の広告宣伝費である旨を主張しました。 一方、税務署は、販売報奨金にも広告宣伝費にも該当せず、交際費に該当する旨を主張し、その意見は鋭く対立した。 裁判は、地裁、高裁を経て最高裁まで争われたが、高裁の判決で大勢は決していました。 最高裁で争われた内容は、交際費課税の合憲性のみであったからです。 その高裁の判断とは以下のとおりでした。 交際費に該当するがどうかの判断は、以下の要件を満たす支出である(新二要件説)。 @支出の相手方が「事業に関係のある者」に限定されたもの。 A贈答その他の行為により親睦の度を密にして、取引関係の円滑な進行を図るために支出されたもの。 そして、抽選会の景品費用は、この二つの要件を満たすため、交際費に該当する。 交際費の該当性を判断する要件について、旧二要件説、三要件説など諸説存在し、統一的な見解が存在するわけではありません。 近時の判例で、英文添削費の費用一部肩代わりについて、交際費該当性をめぐり争われた。この肩代わりは交際費に該当しないと判断されたのであるが、その判断基準には三要件説が用いられたられたようにも見受けられます。 交際費をめぐる紛争は多数存在する。交際費課税の規定は本法ではなく措置法に規定されるにとどまっている。 交際費課税を明瞭かつ具体的に判断できる法令上の規程が早急に必要といえるであろう。 参照 旧二要件説 @「支出の相手方」が事業に関係する者等であり、A「支出の目的」が、かれらに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のためであること。 新二要件説 @「支出の相手方」が事業に関係する者等であり、A「支出の目的」が接待等の行為により事業関係者との親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るためであること。 三要件説 @「支出の相手方」が事業に関係する者等であり、A「支出の目的」が接待等の行為により事業関係者との親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るためであり、B「行為の形態」が接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為であること。 上記三要件説のなかでは、交際費課税の範囲を厳格に解するこの三要件説が優れているといわれている。 新二要件説は、その支出が親睦の度を密にして取引関係の円滑化に寄与することとなれば、行為形態がいかなるものであれ、交際費等に該当する結果となってしまう。これは、交際費課税の範囲を不安定に拡張する基準となりうるため、判断基準として明らかに不適格と考えられる。 |
■その節税対策間違っていませんか? **良い節税、悪い節税** B製作所は当事業年度が9ヶ月経過した時点で、 税引前利益が3千万円を超える利益を計上していました。 法人税負担が約4割と認識していたB社長は 「利益の4割、約1200万円も税金がかかるじゃないか、それなら経費で使ってしまった方がまだましだな」、 と考えるようになり、節税対策として次の三点を実行しようとしていました。 1、節税対策として、新たに高級車を購入する。 2、節税対策として、従業員に決算賞与を支給する。 3、節税対策として、工場設備の一部を取り替える。 また、かねてから保険外交員が薦めていた、役員退職金に備える大型生命保険契約について、これを結ぶべきかどうか迷っています。 4、節税対策として、役員退職保険契約の締結 (7年後の返戻金が最大になるもので、毎年の節税効果を40%見込んだもの) 皆さんはどう考えられますか? その効果のほどを簡単に分析してみましょう。 1、新たに高級車を購入する。 高級車の購入(600万円とする) 支出・・・・・・・・車両代600万円 減価償却費・・・3ヶ月/6年間・・・約62万円H19年の改正後で算出 支出減・・・・・・法人税等の支出約▲25万円 当事業年度において、600万円の支出から得られる当期の節税効果は、たった25万円です。 6年間全額償却したとしても、節税効果の総額は240万円にしかなりません。 600万円▲240万円=360万円ものキャッシュは失われてしまうのです。 営業用自動車が不足して外回りにこと困るならともかく、 高級乗用車を購入する経営判断は、あまり賢明とはいえないでしょう。 また、現在使用されている乗用車の処分は?譲渡ならば売却差損益が生じます。 現在の車両と合算して、いくらのキャッシュが流失したのか計算してみてください。 2、従業員に決算賞与を支給する。 支出・・・・・・・・250万円(10名に25万円) 支出減・・・・・・法人税等の支出▲100万円 従業員にとって嬉しい嬉しい「決算賞与」、でもちょっと待ってください。 業績が良かったのは、企業努力の成果ですか?それとも・・・・・・
3、工場設備の一部を取り替える 工場設備の一部を取替 支出・・・・・・・・400万円 減価償却費・・・3ヶ月/15年・・・約17万円H19年の改正後で算出 支出減・・・・・・法人税等の支出約▲7万円 長年の不況で、損耗したまま稼働し入れ替えを我慢してきた設備を入れ替えるのであれば、 是非その設備投資を実行してください。 しかしながら、不要不急の設備投資ならば、その設備を導入することは内部留保を減らすうえ、 製造原価を無駄に上昇させる結果をまねいてしまいます。 「設備投資できる機会は、利益の発生時」という気持ちはわかりますが、 「設備投資する機会は、経営計画に基づいた必要時」であるべきではないでしょうか。 それまでは、少しでも内部留保を増やし、投資の必要な機会に備えてください。 4、役員退職保険契約の締結 役員の退職金準備、中小企業には大きな負担で大変ですね。 まとまった金銭を準備するにはそれ相当の準備期間が必要です。 節税効果を利用して生命保険契約で役員退職金に備えるのも、 ひとつの有効な手段といえるでしょう。 ところで、皆さんは以下のような販促資料を見かけたことはありませんか。 (数字はあくまで簡略化した参考数値です) 2年後 解約返戻率79% 節税効果12% 実質91%の返戻率 4年後 解約返戻率85% 節税効果15% 実質100%の返戻率 7年後 解約返戻率91% 節税効果21% 実質112%の返戻率 ただし、それはあくまでも十分な利益を確保できた上での実現される返戻率です。 当事業年度に十分な利益が出たとしても、その翌年は?、4年後は?、7年後は? 数年後には解約せざるを得ない苦境に追い込まれていた場合、例えば、 仮に4年後ほとんど節税効果を発揮しないまま保険金を受け取った場合は 85%の返戻金にとどまります。 節税効果を発揮しないまま、保険金を受け取ることも考慮されましたか? また、想定より早すぎる役員退職保険金の受け取りは、 それを相殺する役割の役員退職金支給が生じていないのではありませんか? 保険商品は高額で、しかも長期の計画性を必要とするものです。 単年度の節税対策という思いつきではなく、慎重な経営判断のうえ契約してください。 結局、B社長は、熟考のうえ、 2、従業員賞与の支給のみ実施することになりました。 費用の計上漏れをできるだけ排除し、費用収益の対応を厳密に行うことのみに止まり、 これ以外の、支出の生じる節税対策については採用しませんでした。 補足 節税対策は概略、四つに分類できます。
もちろん、効果的なのは「税金の支払を少なくできるーお金の支払が発生しない」です。 続いて、「税金の支払を遅らせる−お金の支払が発生しない」でしょう。 しかし、そのような効果的な対策は、おいそれとはありません。 仮に、そのような取引あったとしても、個々の企業事情に応じて生じるものですから、 お手軽節税術とは異なり、おいそれと文面に表れることは少ないでしょう。 良い節税対策(課税繰延べも含め)の順序として、大雑把に順序付けするならば @ > B > A > C といったところでしょうか。 |
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| ■リ−ス取引が変わりました 会社を運営する上で、リ−ス物件の利用は大変便利です。 @手持ち資金が乏しく、目的資産の利用を急いでいる場合 A支出費用を固定化したい場合 B貸借対照表に計上する資産を抑制したい場合 しかし、平成20年4月以降に開始する事業年度から、所有権の移転しないリ−ス取引について、 賃借人は賃貸人からリ−ス物件を売買により取得したものと見なされるようになりました。 従って、Bの目的でリ−ス資産の取得を検討されている企業にとって、今回の改正以降、 リ−ス取引を選択する意味が無くなったことになります。 例えば、リ−ス取引を選択し固定資産を取得した場合、以下のようになります。 借方 車両運搬具 2,500,000円 / 貸方 リ−ス債務 2,500,000円 (簡略化しています) そしてリ−ス会社への支払時 借方 リ−ス債務 25,000円 / 貸方 リ−ス債務 25,000円 期末の処理 借方 減価償却費 ******円 / 貸方 減価償却累計額 ******円 では、リ−ス会社への支払をリ−ス料として計上していた場合、費用として認められないのでしょうか? それはご安心下さい、支払をリ−ス料で計上していたとしても、減価償却費として損金経理が 認められます。 今後注意すべき点は、リ−ス会社から資金を融通された資産の取得であることを理解してください。 |
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| ■退職金がなぜ賞与として課税されるのか! 退職金には退職所得控除と1/2課税という受給者を優遇する規定があります。 つまり、通常の給与所得よりも、少ない税金の負担で済むことになります。 @退職金の所得計算(退職金−退職所得控除)×1/2=退職所得の金額 A退職所得控除の計算方法 20年以下の勤続年数・・・・・40万円×勤続年数(80万円より少ないときは80万円) 20年超の勤続年数・・・・・・70万円×(勤続年数−20年)+800万円 それなら、ということで、ある経営者と財務担当者は、会社の負担額が減りるものの受給者の 受取額が減らないよう節税の工夫をしました。賞与を退職所得として支給するような従業員規定に 変更したのです。短期定年制を導入し、再雇用契約で不当な労働解雇がないことも労使で締結しました。 例えば、冬期賞与を12月に100万円/1名、支給することを取りやめ、従業員がいったん11月で 退職した手続きを行なうことで70万円を退職金として支給することにしたのです。こうすることで、 会社負担は一人当たり30万円減少した、なお且つ従業員の受取額は同額か増額するものまで 現れました。 退職所得に係る所得税、住民税 額面70万円・・・0円 賞与に係る所得税、住民税 額面70万円・・・約15万円(月額給与45万円で扶養者2名) もちろん従業員は12月に再雇用され従前と同じ職場で同じ職務をこなしているのですが・・・・・・ 残念ながら、このような取扱いはもちろん認められません。 というのも退職所得として認められるためには、以下の要件を満たしていなければなりません @勤務終了の事実 A継続的な労務対価としての後払的性質 B一時金として支給 古い裁判例ですが、5年退職金事件、10年退職金事件などが上記の経理処理を行ないました。 双方の主張は食い違い、最高裁判所まで争いは発展しましたが、結局「給与所得に該当する」という 判断で決着しました。 近年、退職金支給方法の多様化に伴って、退職所得の打切支給に対する見解も変わりつつあります。 退職金規程を見直し再作成すると共に、税理士に「退職所得として認められるか」の確認も忘れない でください。 とはいえ、上記のような賞与支給を退職金支給として処理しても、退職所得と認められることはありません。 |
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