5 経営計画の立案は簡単に-難しく考えずに、とりあえず作ってみる-
@序

会計も少しは役に立ちそうだな
1〜4を読まれてそう考えられたならば、管理会計を工夫されると共に、
是非とも、経営計画の立案を検討してください。

実のところ
「以前、経営セミナーに参加して、一週間かかって立派な経営計画書を立案・作成したけれど、
ファイルに挟んで本棚にしまいこんだままほったらかしで、結局役に立たなかったよ」

このようにおっしゃられた経営者の方が何名かおられました。

言葉は悪いですが、そんな程度だろうと思います。
ファイルに挟まなければならないほどの立派な経営計画書を作りすぎたのです。
中小企業には、たいそうな凝った経営計画の立案は無意味である
私はそう考えています。
A手順
 
 では中小企業が(作成→実行→確認→修正)実行可能な経営計画の立案とは?


 ボリュームとしては、A5用紙なら1枚で十分、手帳に書き写せる内容で十分でしょう。立案した経営計画の用紙を、従業員の目に付く場所に貼り出します。社長は手帳にもその内容を記載してください。

○短期経営計画をとりあえず作成する。
  △中期経営計画  ⇒  1の短期経営計画が役立つようになってから考える。
  ×長期経営計画  ⇒  2の中期経営計画が役立つようになってから考える。

 短期経営計画書

法人を営む経営者の場合、少なくとも年1回は決算報告書を作成されていると思います。

その直前期の決算報告書を参考にして作成します。
経営計画の立案には、とりあえず前期と同じ数字を書き込んだのち、以下の要因を加味して、増減等修正してください。

当期において利益を減少させる負の要因

直前期はたまたま受注物件に恵まれた。
  たまたまは、対前期比較でマイナスに働く可能性が高いです。
 たまたま増加した売上高相当を減額してください


直前期ぐらいの売上げ、利益が確保できたらいいな(ただし対策は立てていない)
  戦略・対策が無いまま前期の維持を願われているとしたら、前期の数字維持は難しいでしょう。売上げは前年度比の90%程度へ修正してください。

縮小している市場が会社の主な営業テリトリーであり、防止対策は取れていない。
  縮小市場だから全てマイナスになるのではありません、対策が取れないことが問題です。
  市場の縮小が予測される割合に、2割加算した額(10%縮小予測なら12%の減額)を減額してください。

その他

当期において利益を増加させる正の要因

直前期は戦略的に活動したが、売上時期が当期以降にずれ込んだ
  ずれ込んだ売上額のうち当期に計上できそうな分を増額してください。

拡大している市場が会社の主なテリトリーであり、営業の対策もとれている。
 
拡大が予測される割合に、対策効果を予測して、少し厳しめに増額してください。

管理会計により把握された費用を分析できており、支出の配分に注意している。
  予測される削減額のうち効果は8割程度とみなして、費用を修正してください。

その他


B作成例          が当期予測金額 が前期実績金額
第X期経営計画 4月 5月 6月 ・・・・・ 1月 2月 3月 合計 前期比
当期売上予測 13,500 12,000 12,500 9,000 8,500 14,000 154,450 100%
前期売上高 13,500 12,000 12,500 9,000 8,500 14,000 154,450
仕入高 2,025 1,800 1,875 540 1,275 2,100 23,167 100%
製造原価 5,400 4,800 5,000 4,100 4,100 5,600 61,780 100%
販管費 4,900 4,600 4,700 4,000 4,100 6,000 61,200 100%
営業損益 1,175 800 925 360 -975 300 8,303 100%
前期営業損益 1,175 800 925 360 -975 300 8,303

要因を検討し増減する。

第X期経営計画 4月 5月 6月 ・・・・・ 1月 2月 3月 合計 前期比
当期売上予測 14,500 14,500 13,000 9,000 8,500 12,500 154,000 99%
前期売上高 13,500 12,000 12,500 9,000 8,500 14,000 154,450
仕入高 2,066 2,066 1,852 1,282 1,211 1,781 21,945 95%
製造原価 5,510 5,510 4,940 3,420 3,230 4,750 58,520 95%
販管費 5,100 4,800 4,900 4,200 4,300 6,200 63,600 104%
営業損益 1,824 2,124 1,308 98 -241 -231 9,935 119%
前期営業損益 1,175 800 925 360 -975 300 8,303
増減の要因
前期受注分の検収が多いものの景気拡大の恩恵をあまり受けない業種である為、売上高は微減
仕入高、製造原価は仕入先見直し、品質管理等により5%程度削減可能
賃金給与は、毎月15万程度増加の見込み、広告宣伝費も毎月5万程度増加見込み


C結


直前期の費用収益をそのまま書き写し、少し修正を加える。


これなら、どの経営者の方にもできるでしょう。あまりにも簡単なので、少し拍子抜けされている経営者の方もおられるのではないでしょうか

さらに、

当期が進行している最中にも、会社や市場の変化を織り込むため、どんどん経営計画書の見直しを行ってください。

もちろん数字の修正をおこなうのです。

ただし、修正しなければならない原因の分析は必ずおこない、その分析を従業員と共有することです。
事例
新規開拓した売上に係る歩留まりが予測を超過し、製造原価は増加の見込み。
中堅従業員が退職し、新人の工員を中途採用する。賃金は微減するが、製造工程には影響する見込み
広告宣伝費が効果を発揮し、売上高が2〜3%増加する見込み。


経営計画の立案・修正を継続させることで、会社の強み・弱みを自覚するようになります。

強みをより強力にし、弱みの穴埋めを行う

その指針が明らかになってゆく、これこそ経営計画書を作成する最大のメリットなのです。

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